お互いさま

2008年10月21日 日常
妹は、中学生の時、学校でたばこを持っているのを先生に見つかって、職員室に連れて行かれました。職員室で妹はだんまりを通しました。彼女はうんと小さい時分から黙っていることが得意でしたから、年を重ねて14才にもなった妹の沈黙は、相当かたくなだったと思います。新宿から父が学校へとすっ飛んで来たのは、おひさまもとうに暮れてから。「どうなんだ、たばこなんか持ってておまえはたばこを吸っているのか!?いないのか!?」。父がそのいやな陣形に加わってから、先生方の尋問も勢いを増し、何か言わなきゃ帰さないぞという気迫に誰もがみんな満ちています。星も輝く時間になってようやく妹はひとこと発しました「たばこは吸っていない、ただ吹かしただけ」。

昨日父が病室でとなりのベッドのイハラさんとけんかしました。イハラさんは眉の上にひっかき傷を負い、病院サイドは「そろそろ真剣に出て行ってくださいな」という構えに入りました。妹は即刻呼び出され、担当医とリハビリ訓練士、師長などなど総勢6人のスタッフに囲まれ涙したそうです。イハラさんにも頭を下げに行った。

わたしも幾度も父さんに「お返し」していくだろうと確信しています。ピンク色が大好きで、いつもピンク色の服を着ていたニシカワくんと一緒に補導されたとき、父は東京駅に迎えに来てくれましたし、嗚呼あのときもそのときも、父は頭を下げてくれました。さっき電話で弟にも心当たりを尋ねたところ、いくつもの事件をおもしろおかしく披露してくれ、妙にふたりは納得したものです。めぐりめぐる命や役割や順番のことを、身をもって理解していく道の途中です。わたしたちきょうだいは39才と36才と34才で、みんなだいぶ白髪も生えているのですが、感覚的にはまだまだ子どもの頃と変わらず、歩いているとき足を引っかけようとしたり、弟や妹の好きなおかずを箸で盗み取って食べて怒らせたり、内輪ネタで大笑いしたりしてきたけれど、やっぱり、そう、今、わたしたちの番がやってきているのでした。

「お互いさま」の勉強をしています。

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