白い蝉 白い夕顔 夏の夜
朝、まだ8時だというのにもう暑い。強い陽射しに肌がぴりぴりする。毎年この時期に耳なし芳一を想う。怨霊よけのため、芳一の体に般若心経を書き写した和尚は、耳にだけお経を写し損なったので、芳一は耳をもぎ取られてしまった。わたしの体もどこかUVケアし逃がした場所があるのに違いない。ついうっかりと。

この町に越してきてもうじき4ヶ月になる。

夏らしいことを楽しむことにしている。例えば夕顔を育てる。例えばヤゴを育てる。例えばトンのトマトが赤くなったら食べる。

毎夜の散歩では蝉の幼虫たちにいつも出会う。道路をのこのこのこのこ歩いているので、木の枝を拾って捕まらせては、植え込みの根本まで運ぶ。そこで羽化したら絵になると思い、ヒマワリの根本に置いてみたりするけれど、大抵よそへ行ってしまう。

夏が始まってから昨日までは幼虫にお節介するだけで、その幼虫が大人になるのを見守ったりしなかったし、羽化したての白い蝉を熱心に探したりもしなかった。でも昨日の夜、トンを連れて散歩に行ったら、5匹もの白い蝉を見ることができた。大人と子どもの視点の違いなのかなぁと思うけど、わたしが思っていたような場所じゃないところで蝉は羽根を乾かしていた。案外地面の近くでひょっとしたら地面から30センチくらいしか離れていないようなところ。

トンは、そりゃあ、はしゃいでいましたとも。

でも明けて今日の朝。

地中に約6年もいて、ようやく地上生活に入った蝉をクマちゃんがパクリと食べてしまった。命ってなんでしょう。

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