とんぼ返り3回セット
2009年10月29日 日常軽トラのバッテリー交換を命じられる。しかも買いに行って自分で取り付けよ、とのこと。なんとかバックスに行き、新しいバッテリーを買い、古いのを引き取ってもらう。古いのを運んでいるときにお気に入りのカーキ色コートに赤っぽいしみが付いた。スタッフに「これ、付いちゃった。落ちるの?」と訊くが、スタッフは渋い顔で「硫酸のうすめたやつだから、服が溶けます」と言う。ここからあたしの不幸が始まった。
バッテリーの取り付けはなんなく終わった。工事の書類もきれいにできた。下職さんに支払うお金も間違いなく数えて持った。軽トラのエンジンも無事にかかった。昼飯時、変な形の大学を横目に現場へと走る。ちょうど駐車場で下す荷物をまとめていた時だった。お金を入れた封筒がない。探し回るが見つからず、30分かけて来た道をとんぼ返りする。家の前に落としていて誰かが拾っちゃったらどうしよう。親方にどやされる。ここ最近大変疲れていて、追い詰められていて、ふと生きていたくないなと思う。
家のガレージに軽トラを突っ込んでみると、向かい合わせになったカローラの運転席と助手席の間に、お金の入った封筒が斜めになって落ちているのが見える。そうだった。車の入れ替えをしたので、その時に落としてしまったのだと判って、心の底から安堵する。そしてまた現場にとんぼ返りする。
工期の遅れた現場には、気の立った男たちが数人働いていて、その中で最もかりかりしているのはもちろん親方なのだった。うじうじしても仕方ないので、噛み犬の家に書類を置きに行き、チロに舐められる。仕事の話半分、世間話半分をしている間中、チロはあたしの足を舐めたり嗅いだりそばを離れない。いつかまた噛んでくるんじゃないだろうね?と思ってもどうにもできない悲しい立場。なんとか噛まれずに「それではまた」と階段を降りるも、チロは短い脚で懸命に着いてくる。静かに急いでチロを巻く。
ハウスクリーニングの職人さんにお金を支払う。当然、とんぼ返りをからかわれる。もっといやなことも言われちゃった。お金が見つかってうれしかったけど、役立たず的な些細な言葉にやっぱりもう一回落ち込む。また同じ道を急いでないけど今度は気分的にとんぼ返りで帰る。そうだよ、あの混む交差点をもう一度横切って30分車を走らせて帰る。明日のこととか、ごはんのことは、こんなとき本当に考えたくないことだけど、そうはいかない。犬なら遠吠えしたいし、猫なら爪を磨ぎまくる。親方ならぷぃっとどこかへ飛び出していくだろう。あたしにはどれもできないのだった。洋服を見ると気が紛れるだろうかと思い、服屋をくるくる回ってもあたしが買うのはやっぱり結局自分の服ではなかった。
書いてて思うけど、カビちゃうね。ハムスターになって一生懸命回し車の中を走りまわった気分なんだよ。でもハムスターは徒労のことや無為のことなんか考えない分かっこいい。あたしはそうじゃない。もう寝る。
バッテリーの取り付けはなんなく終わった。工事の書類もきれいにできた。下職さんに支払うお金も間違いなく数えて持った。軽トラのエンジンも無事にかかった。昼飯時、変な形の大学を横目に現場へと走る。ちょうど駐車場で下す荷物をまとめていた時だった。お金を入れた封筒がない。探し回るが見つからず、30分かけて来た道をとんぼ返りする。家の前に落としていて誰かが拾っちゃったらどうしよう。親方にどやされる。ここ最近大変疲れていて、追い詰められていて、ふと生きていたくないなと思う。
家のガレージに軽トラを突っ込んでみると、向かい合わせになったカローラの運転席と助手席の間に、お金の入った封筒が斜めになって落ちているのが見える。そうだった。車の入れ替えをしたので、その時に落としてしまったのだと判って、心の底から安堵する。そしてまた現場にとんぼ返りする。
工期の遅れた現場には、気の立った男たちが数人働いていて、その中で最もかりかりしているのはもちろん親方なのだった。うじうじしても仕方ないので、噛み犬の家に書類を置きに行き、チロに舐められる。仕事の話半分、世間話半分をしている間中、チロはあたしの足を舐めたり嗅いだりそばを離れない。いつかまた噛んでくるんじゃないだろうね?と思ってもどうにもできない悲しい立場。なんとか噛まれずに「それではまた」と階段を降りるも、チロは短い脚で懸命に着いてくる。静かに急いでチロを巻く。
ハウスクリーニングの職人さんにお金を支払う。当然、とんぼ返りをからかわれる。もっといやなことも言われちゃった。お金が見つかってうれしかったけど、役立たず的な些細な言葉にやっぱりもう一回落ち込む。また同じ道を急いでないけど今度は気分的にとんぼ返りで帰る。そうだよ、あの混む交差点をもう一度横切って30分車を走らせて帰る。明日のこととか、ごはんのことは、こんなとき本当に考えたくないことだけど、そうはいかない。犬なら遠吠えしたいし、猫なら爪を磨ぎまくる。親方ならぷぃっとどこかへ飛び出していくだろう。あたしにはどれもできないのだった。洋服を見ると気が紛れるだろうかと思い、服屋をくるくる回ってもあたしが買うのはやっぱり結局自分の服ではなかった。
書いてて思うけど、カビちゃうね。ハムスターになって一生懸命回し車の中を走りまわった気分なんだよ。でもハムスターは徒労のことや無為のことなんか考えない分かっこいい。あたしはそうじゃない。もう寝る。
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