秋風に人の波

季節が移ろいました。

整体に通っても、元気の出るサプリをがぶ飲みしても、症状を無視して散歩に励んでも、身体の様子は変わりません。いかにその気になりやすいわたしをもごまかせない決定的な怪我なんだなぁと感心しています。３か月が経過しました。

ベンチに座ってバスを待ちながら、往来の人々を眺めていると、体に不自由を抱えている人が多いのに驚きます。足を引きずっている、歩行時の足の繰り出し方が変、上体が妙に反っている、四肢の動きがバラバラ、目に見えるものだけ数えても本当にたくさんの人が不便を抱えて暮らしていることがわかります。目に見えない不調はもっともっとあるのに決まっていますから、あんまり考えたことがなかったけど、さくさく歩くことができたり、自由に体を曲げ伸ばししたり、走ったり、子どもを高い高いできたりすることは、実はまぶしいくらいの幸せだったのかも。

それでも、ひとつの事象が起こると、出会う人や物事が変わり、おもしろいこともたくさんあります。あぁまた曲がり角の先が見えないまま生きていたのか、滑稽だけど一生懸命に、と切なく気がつきます。でも全部取り替えのことではなく、自分なりの積み重ねもあるということのありがたさ。このありがたさにもようやく気がつきました。遅い。でも子どもたちにわかるように教えられたら、わたしの無様な生き方もきっと誰かの役に立つというものです。がんばる。

バスを待つ間に人波を眺めるように、自分の身に起こっていることも、どこか本当は少し他人事のような気持ちでぼんやり見渡しています。